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炎症性サイトカインと糖尿病 ― 歯周病由来TNF-αがインスリン抵抗性を引き起こす理由

2026年1月26日

「血糖値」と「歯ぐき」が関係していることをご存じですか?

1月19日は、花王株式会社が制定した「いいくちの日」です。
この記念日は、「お口の健康が、全身の健康につながる」という考え方を社会に広めることを目的としています。

その象徴的なテーマの一つが、
歯周病と糖尿病の深い関係です。

糖尿病は生活習慣病として知られていますが、近年では慢性炎症性疾患という側面が強く意識されるようになってきました。

本記事では、歯周病が産生する炎症性サイトカインTNF-αが、どのようにしてインスリン抵抗性を引き起こすのかを、医科歯科連携の視点から詳しく解説します。


歯周病は「お口の中だけの病気」ではありません

歯周病は、歯周ポケット内に形成されるバイオフィルム(細菌の集合体)による慢性感染症です。
しかしその本質は、単なる感染ではなく、持続的な炎症反応にあります。

歯周病が進行すると、

●歯周組織で炎症性サイトカインが産生される

●炎症物質が血流に乗って全身へ波及する  という現象が起こります。

このとき中心的な役割を果たすのが、TNF-α(腫瘍壊死因子アルファ)です。


TNF-αとは何か?|炎症を制御するはずの物質が問題になる理由

TNF-αは、本来、

●感染防御

●免疫調整 といった重要な役割を担う炎症性サイトカインです。

しかし、歯周病のように炎症が長期間持続すると、TNF-αは「守る物質」から「害を及ぼす物質」へと性質を変えます。

特に問題となるのが、糖代謝への影響です。


TNF-αがインスリン抵抗性を惹起するメカニズム

インスリンは、血糖を細胞内に取り込ませるためのホルモンです。
この作用は、細胞表面のインスリン受容体と、その下流にあるIRS-1(インスリン受容体基質)などのシグナル伝達によって成り立っています。

TNF-αが慢性的に増加すると、

1.IRS-1のリン酸化異常が起こる

2.インスリンシグナルが途中で遮断される

3.細胞がインスリンに反応しにくくなる   結果として、インスリン抵抗性が生じます。

これは、インスリンは分泌されているのに、効かない状態を意味します。

歯周病由来のTNF-αが全身に影響することで、血糖コントロールが悪化することが、数多くの研究で示されています。


歯周病と糖尿病は「双方向性の関係」

重要なのは、歯周病と糖尿病が
一方通行の関係ではないという点です。

●糖尿病 → 免疫低下・血流障害 → 歯周病が悪化

●歯周病 → TNF-α増加 → インスリン抵抗性上昇 → 糖尿病悪化 このように、両者は悪循環を形成します。

だからこそ、内科治療だけ、歯科治療だけでは不十分であり、医科歯科連携が不可欠となるのです。


医科歯科連携の視点|歯周治療は糖尿病治療の一部

近年では、歯周病治療によって

●HbA1cが改善する

●インスリン感受性が向上する  といった報告も増えています。

歯周治療は、「歯を守る治療」ではなく、全身の慢性炎症をコントロールする医療介入と位置づけられつつあります。

糖尿病をお持ちの方こそ、定期的な歯科受診と歯周管理が重要です。


まとめ|いいくちの日に考える「口から始まる全身管理」

●歯周病はTNF-αなどの炎症性サイトカインを産生する

●TNF-αはインスリン抵抗性を惹起し、糖尿病を悪化させる

●歯周病と糖尿病は双方向性に影響し合う慢性疾患

1月19日「いいくちの日」は、お口の健康を全身の健康として捉え直す日です。

血糖コントロールに悩まれている方、本質的な予防医療を求める方こそ、ぜひ一度、ご自身の口腔内環境に目を向けてみてください。

それは、糖尿病治療の新たな一歩になるかもしれません。

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