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【感染症対策の新常識】 インフルエンザは「口」から始まる?― ウイルス性疾患と口腔プロテアーゼの深い関係

2026年1月14日

はじめに|「しっかり手洗いしているのに感染する」理由をご存じですか?

毎年のように流行するインフルエンザやウイルス性感染症。
「手洗い・うがいを徹底しているのに、なぜか毎年かかってしまう」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

近年の研究から、ウイルス感染の成立には“口腔内環境”が深く関与していることが明らかになってきました。
特に注目されているのが、歯周病菌が産生する酵素=口腔プロテアーゼです。

本記事では、歯科医師の立場から

●なぜ歯周病がウイルス感染を助長するのか

●その医学的メカニズム

●口腔ケアが感染症予防に果たす役割  について、科学的根拠に基づいて解説します。


1. インフルエンザウイルスはどうやって体内に侵入するのか?

インフルエンザウイルスは、鼻や喉の粘膜上皮細胞に感染することで発症します。
しかし、ウイルスは単独では細胞内に侵入できません。

ここで重要になるのが、ウイルス表面に存在するヘマグルチニン(HA)というタンパク質です。

● HA活性化に必要な「切断」

HAはそのままでは不活性で、プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)によって切断されることで、初めて感染能を持つという性質があります。

つまり、プロテアーゼが多い環境=ウイルスが侵入しやすい環境ということになります。


2. 歯周病菌が出す「口腔プロテアーゼ」とは何か?

歯周病は、Porphyromonas gingivalis(P.ジンジバリス)をはじめとする嫌気性細菌による慢性感染症です。
これらの歯周病菌は、生存や組織破壊のために強力なプロテアーゼ
を産生します。

代表的なものにジンジパイン(P. gingivalis由来) があります。

● 口腔プロテアーゼの問題点

これらの酵素は

●歯周組織を破壊する

●炎症性サイトカイン(IL-1β、TNF-αなど)を増加させる

●粘膜バリアを弱体化させる

だけでなく、インフルエンザウイルスのHAを切断・活性化する作用を持つことが分かっています。

つまり、歯周病がある口腔内では、ウイルスにとって“非常に好都合な環境”が整ってしまうのです。


3. 口腔内のpHとウイルス感染の関係

歯周病が進行すると、口腔内は

●プラーク増加

●炎症による滲出液

●唾液の緩衝能低下

により、pHが不安定かつ酸性寄りになります。

この環境は

●細菌酵素の活性を高め

●粘膜の防御機能を低下させ  結果として、ウイルス侵入をさらに助長します。


4. 医科歯科連携の視点|歯周病は全身感染症リスクを高める

歯周病と全身疾患の関連は、今や医科・歯科共通の認識です。

特に関係が深いのは

●糖尿病(炎症性サイトカインによるインスリン抵抗性)

●心血管疾患

●誤嚥性肺炎

そして、ウイルス性呼吸器感染症です。高齢者や基礎疾患を持つ方ほど、「口腔管理=感染症対策」という考え方が重要になります。


5. 口腔ケアが感染症予防になる理由

適切な口腔ケアを行うことで、

●歯周病菌の減少

●プロテアーゼ量の低下

●粘膜バリア機能の回復

●唾液による免疫(IgA)の向上  といった効果が期待できます。

特に、

●定期的な歯科でのプロフェッショナルケア

●正しい歯磨き・歯間清掃

●歯周病の早期治療

は、ワクチンや手洗いと並ぶ「第3の感染症対策」といっても過言ではありません。


まとめ|感染症対策は「口の中」から始まります

インフルエンザやウイルス感染症は、単なる「外からの侵入」ではなく、体内環境、とくに口腔内環境に大きく左右される感染症です。

●歯周病菌が出すプロテアーゼがウイルス侵入を助長する

●口腔ケアによって、そのリスクは確実に下げられる

これは、科学的にも裏付けられた事実です。

ぜひこの冬、「感染症予防の一環としての歯科受診」という新しい選択肢を考えてみてください。

お口を整えることは、全身を守ることにつながります。

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