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菌血症とアテローム性動脈硬化 ― 歯周病菌が血管内皮に及ぼす静かなリスク

2026年1月30日

「血栓」と「歯周病」が結びつく理由

1月20日は「血栓予防の日」として、脳梗塞や心筋梗塞といった重篤な血管疾患への理解を深める日です。
血栓というと、血液の病気や生活習慣病を思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし近年、歯周病由来の菌血症(きんけっしょう)が、アテローム性動脈硬化や血栓形成に関与する可能性が、歯科・医学の両分野で注目されています。

本記事では、Porphyromonas gingivalis(Pg菌)などの歯周病菌が、どのように血管内皮細胞へ影響し、血栓リスクを高めるのかを、医学的メカニズムから解説します。


菌血症とは何か?|歯ぐきから血管内へ

菌血症とは、細菌が一時的または持続的に血流中へ侵入する状態を指します。

歯周病が進行すると、

●歯周ポケット内の炎症

●毛細血管の透過性亢進

●上皮バリアの破綻 が生じ、歯磨き・咀嚼・歯科処置といった日常的な刺激だけでも、細菌が血管内へ侵入しやすくなります。

特に問題となるのが、強い病原性を持つ歯周病原細菌です。


Pg菌(Porphyromonas gingivalis)の特徴

Pg菌は、歯周病の代表的な原因菌であり、
キーストーンパソゲン(少数でも病態を支配する菌)として知られています。

この菌の特徴は、

●強力なプロテアーゼ(ジンジパイン)産生

●宿主免疫を攪乱する能力

●細胞内侵入能を持つ  という点です。

単なる「表面感染」にとどまらず、血管内皮細胞の内部に侵入する能力を持つことが、動脈硬化との関連で問題視されています。


血管内皮細胞への侵入とアテローム形成

血管内皮細胞は、本来、

●血流の調整

●抗血栓作用

●炎症制御  といった重要な役割を担っています。

Pg菌が菌血症として血流に乗ると、

1.血管内皮細胞に接着

2.細胞内へ侵入

3.炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-αなど)を誘導  という反応が起こります。

その結果、

●内皮機能障害

●LDLコレステロールの酸化促進

●マクロファージの泡沫化  が進行し、アテローム性動脈硬化の形成・進展に関与すると考えられています。


血栓形成との関係|なぜ「詰まりやすくなる」のか

動脈硬化が進行した血管では、

●内皮の抗血栓作用が低下

●血小板が活性化しやすくなる  状態に陥ります。

さらにPg菌は、

●血小板凝集を直接促進

●組織因子(TF)の発現を誘導 することが報告されており、血栓形成の引き金となる可能性があります。

つまり歯周病は、動脈硬化を進めるだけでなく、血栓が「できやすい環境」を作るという二重のリスクを持つのです。


医科歯科連携の視点|動脈硬化は全身性炎症の結果

アテローム性動脈硬化は、単なる脂質異常症ではなく、慢性炎症性疾患として理解されています。

歯周病は、

●持続的な菌血症

●炎症性サイトカインの供給源 となり得るため、内科領域(循環器・糖尿病)と歯科領域の連携が不可欠です。

近年では、

●心血管疾患リスク評価に歯周状態を含める

●ハイリスク患者への積極的な歯周管理 といった取り組みも始まっています。


まとめ|血栓予防は「血管」だけでなく「口」から

●歯周病は菌血症を引き起こす

●Pg菌は血管内皮細胞へ侵入し、動脈硬化を助長する

●炎症と血小板活性化により血栓形成リスクが高まる

血栓予防というと、食事・運動・服薬管理に目が向きがちですが、口腔内の慢性炎症管理も重要な要素です。

1月20日「血栓予防の日」をきっかけに、ご自身の血管と同じくらい歯ぐきの状態にも目を向けてみてください。

それは、将来の脳梗塞・心筋梗塞を防ぐ、静かですが確かな予防策となります。

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